“すごい薬効!なぜビワが良いのか”

枇杷の葉や種にふくまれる“アミグダリン”
福島論文の表紙 ビワはバラ科の植物で、アンズ、モモ、リンゴ、ナシ、サクラなどの仲間です。

ビワの葉の成分としては、ブドウ糖、蔗糖、果糖、マルトース、澱粉、デキストリン、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、アミグダリン、タンニン、サポニンなどがあります。

“びわで多くの人を救った河野大圭禅師”

日本では大正から昭和の初めにかけて静岡県浜松市北区細江町にある臨済宗の寺、金地院こんちいんで河野大圭こうのたいけい禅師がビワの葉を使った施療を行って難病に苦しむ多くの人々を救い、その数は20万人にのぼるとも言われます。

これは当時の医学界からも注目を集め、札幌鉄道病院の福島鐵雄博士は昭和2年に『皮膚を通して行う青酸療法(河野大圭禅師のビワの葉療法の紹介とその科学的研究)』という論文(右図)を発表。

難病を抱える何人もの患者が河野禅師の施療によって治癒するさまを自らの目で確認したことを報告した上で、その科学的メカニズムについて、「ビワの葉には『アミグダリン』と『エルムシン』とが含有されており、葉の表面を火であぶることによってアミグダリンとエムルシンが相互反応して微量の青酸が発生し、それが皮膚を通して吸収され、甚大な効果を発揮するものと考える。

青酸は恐るべき猛毒であるが、ごく微量の青酸は逆に甚大な薬効をもたらすのではないか」と述べました。

“アーネスト・クレブス博士はアンズの種子からアミグダリンを抽出”

1950年、米国サンフランシスコの生化学者、アーネスト・クレブス博士はアンズの種子(杏仁きょうにん)からアミグダリンを抽出し結晶化して「レートリル」と名付け、ガンの治療に使用しました。

クレブス博士は、食生活の偏りによるアミグダリンの欠如が代謝活動に異常をもたらし、これが免疫力・抗菌力の低下につながり、ガンだけでなく心臓病・糖尿病など成人病の原因になると主張しました。

アミグダリンを多く含むものとしては、アンズの種、ビワの種、ビワの葉、ウメの種、アーモンド、アルファルファ、プルーン、たけのこ、玄米、大豆、小豆、蕎麦、ゴマなどがあります。

“長寿国フンザ王国の人々とアンズの種”
長寿国フンザ王国の人々がアンズの種を大切にしていたことは広く知られているところです。
ビワの葉にはアミグダリンが20ppm含まれています。

“ビワの葉の効果”

大阪大学での研究
“安田寛之博士はビワの葉エキスの血液浄化作用を実証”
昭和12年頃、大阪大学の安田寛之博士が動物実験でビワの葉エキスの血液浄化作用を実証しました。

安田博士は体重600gの家ウサギを使い、ビワの生葉75gを金属製の円筒の中に入れて加熱し、そこからビワの葉の成分を含んだ蒸気を導き出し、体毛を短く刈った家ウサギの腹部に約9cmのところから吹き付けました。

これにより、家ウサギの濁った血液がわずか5分間で弱アルカリ性に浄化されたというのです。さらに30日間施術したところ、骨組織もしっかりし、体内臓器も健康になり、体重も増加したそうです。

この研究に基づき、安田博士は『血液の酸塩基平衡より観たる枇杷葉療法』という論文を発表。ビワの葉療法の効果は、ビワの葉自体が持っている成分の特殊作用と、生体を温めることの有効作用のためであろう、と述べました。

このような作用により、血液が弱アルカリ性に変化し、内臓諸器官の働きが活性化されて、自然治癒力に好影響を及ぼしたというのです。

“小沢凱夫教授は陰茎ガンをビワの葉療法のみで治療”
また、大阪大学医学部の小沢凱夫おざわよしお教授の下で、陰茎ガンの患者をビワの葉療法のみで治療した実例があります。背筋、腹部、局所を1日3回1時間ずつ治療したところ、49週間でガン細胞は全滅し、健康な組織が蘇ってきたというのです。

以上、ビワの葉の効果をまとめると、
■ビワの葉の4つの効果■
抗ガン作用
鎮痛作用
殺菌作用
血液浄化作用

“アミグダリンは毒物?”
ところが近年、アミグダリンについてネット検索すると、むしろネガティブな情報を多く目にするようになってきました。

中には、「アミグダリン=青酸化合物=毒物=危険」というような単純な図式で危険性を述べているページさえあるので、不安を感じて当会に問い合わせがあったりもします。

まずは「国立健康・栄養研究所」の「健康食品の安全性・有効性情報」の「アミグダリンについて」のページを見てみましょう。
そのポイントをまとめると、以下の通りです。

アミグダリンはかつて「ビタミンB17」と呼ばれていたが現在は否定されている。
また、「アミグダリンの欠乏がガンや生活習慣病の原因となる」という説も、その科学的根拠は現時点で確認されていない。

アミグダリンを抽出して製造した薬剤「レートリル」がガンの増殖を抑制するという説が提唱され、実際にガン治療に用いられたことがあった。

しかし、臨床研究の結果効果が否定され、むしろ青酸中毒をおこす危険性があるとされ、現在米国ではレートリルの販売は禁じられている。
アミグダリンの効果を強調した健康食品については充分な注意が必要。
アミグダリンの多量摂取による健康被害も報告されている。

等々、上記資料を冷静に読んでみると、「アミグダリン=毒物」と言っている訳ではなく、
アミグダリンを薬効成分とするアンズやモモの仁にん(種子の中身)が昔から漢方の生薬(杏仁きょうにん、桃仁とうにん)として用いられ、実際に去痰・鎮咳などの用途に用いられていること。

青酸はごく少量であれば細胞内(ミトコンドリア)の酵素 (ロダナーゼ) の作用により、毒性が弱く排泄されやすい形に変換されること
にも言及されています。
また、
報告された健康被害の実例というのは、アミグダリンを抽出・製剤した「レートリル」を数グラム(ウメの仁だったら数百個分)単位で一度に摂取した結果だったことが分かります。

“一物全体として捉えるビワの薬効”
ビワの葉、ビワの種子を一物全体として捉えるアミグダリンの薬効に言及しているので、「アミグダリンの薬効が否定された」→「ビワの葉療法の効果も否定された」と思われる方がおられるかも知れません。

ビワ 「ビワの葉の効果=アミグダリンの薬効」というのは、上述のとおり福島鐵雄博士が昭和2年に発表した『皮膚を通して行う青酸療法(河野大圭禅師のビワの葉療法の紹介とその科学的研究)』の中で主張された説です。

その後、米国で「レートリル」(アミグダリン製剤)がガン治療に用いられるに至り、「ビワの葉の効果=アミグダリンの薬効」という図式はいよいよ確固たるものとなりました。
その結果、ビワの葉の効果に触れた書物はほとんどがアミグダリンの薬効に言及しています。

“一度に大量に摂ったりしないかぎり直ちに中毒を起こすようなものではない”
ところが近年、上述の通りガンに対するアミグダリンの薬効が否定され、「レートリル」の過剰摂取による健康被害の報告などもあって、アミグダリンに対する評価も逆転し「アミグダリン=青酸化合物=毒物=危険」という情報さえ目にするようになりました。

しかし、アミグダリンはシアン化カリウム(青酸カリ)、シアン化ナトリウムなど、一般にシアン化物と呼ばれる水溶性の無機化合物とは異なり、それ自体が単独で毒性を示すことはありません。

アミグダリンを分解して青酸を遊離させるにはベータ・グルコシターゼという酵素の働きが必要で、この酵素は人の腸内に豊富に存在するものではありません。

一度に大量に摂ったりしないかぎり直ちに中毒を起こすようなものではないのです。「長期間摂り続けると体内に蓄積して危険なのでは?」という心配も杞憂で、青酸は砒素などとは違って体内に蓄積することはありません。(参考:国土交通省の水質データベースより)

そもそもは金地院こんちいんの河野大圭こうのたいけい禅師が行うビワの葉療法により、おおぜいの難病患者が治癒していくさまを目の当たりにした福島鐵雄博士が、その効果を科学的に説明しようとして唱えた「アミグダリン薬効説」だったのです。

その結果、当時の医学界もビワの葉の効果に注目し、大阪大学でも研究が行われたのは前述の通りです。

しかしその後「アミグダリン薬効説」のみが一人歩きし、それに疑問符がついた結果、ビワの葉療法の効果まで疑問視され、さらに「危険なのでは?」と疑われるようになったのではまさに本末転倒です。

様々な「体験談」からビワの葉療法の効果は疑いようがありません。
その一方で「ビワの葉療法はなぜ効果があるのか」と疑問が生じるのもごく自然なことです。

この疑問に対し、これからは「アミグダリン」という特定の成分のみに注目するのでなく、「ビワの葉」や「ビワの種子」を全体として捉え、その効果を認める必要があるように思われます。

“葉や種をまるごと使うことに古代の人々の智恵が”
例えば漢方ではビワの葉を枇杷葉びわようと呼び、ビワの葉そのものを乾燥させて生薬とします。前述の杏仁きょうにんや桃仁とうにんも、アンズやモモの仁にんをそのまま乾燥させたものが生薬として用いられるのです。

これは時代的・技術的な制約により有効成分を抽出できなかったからそうしたと考えるのでなく、葉や種をまるごと使うことに古代の人々の智恵があったと考えるべきなのではないでしょうか。

なお、現在でもビワの種子の薬効についての研究は行われており、高知大学や高知医大の研究でビワの種が肝機能の改善に効果のあることが確認されています。

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